ジャパンヴィンテージ?モーリスW-20のバインディング剝がれ修理

リペア
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まいど!モッパーです。さて、今日登場するギターはモーリスW-20というアコースティックギターです。
バインディングが剥がれてきたから修理してほしいと友人から預かりました。
これがけっこう古いギターで、いわゆるジャパンヴィンテージ …と言っても高価なものではないらしい(笑)
てか、高価なギターだったら修理を引き受けてないかもしれませんね!

古いアコギってバインディングが剝がれちゃってる事、あるよね?
このギターもあまり弾いてなかったみたいで、ケースで保管されていたみたい。
オーナーが久しぶりにケースから出してみたらネックサイドのバインディングが少し剝がれていたそうです。
剥がれてるのが小さな範囲なので、接着して修理することにしました。

そうは言ってもモッパーもバインディング修理は初めての経験です。
そもそもバインディングってどうやって付いてるの?
修理にはどんな接着剤を使うのがよいのか?
そんな所からのスタートです。

※ギターの改造等は自己責任でおこなわれるようお願いいたします

Morris W-20

こちらがそのモーリスW-20です。なんと1975年製!
トップ材が少し盛り上がってきちゃってます(汗)
どんなギターだったのかと思い調べてみたところ…
当時、定価20000円で販売されていたエントリークラスのモデルだそうで、製造は飯田楽器と寺田楽器でされていたそうです。

サウンドホールから中を覗いて見てみると…

こちらの個体は寺田楽器製ですね。
ん?モデルNoが手書きで直されてますね。これは新品の時からなのでしょうか、謎です。
1975年製というのも確認できますね。
モーリスギターは日本製アコースティックギターの草分け的存在だということを今回調べてみて初めて知りました。

状態を確認

さ、余談が多くなってしまいました。さっそく状態を確認します。
ネックサイドのバインディング剥がれということです。
見てみると、1弦側のナットから1フレットまでが浮いてしまってます。ちょっと手で浮かせてみると1~2フレットの中間まで、剥がれてますね。

指で押さえてみると、バインディングが縮んでしまったのかナットまで届きません。隙間が出来てしまいます。オーナーに確認したところ隙間があってもいいから接着してほしいとのことでした。

バインディングの接着方法について

そもそもバインディングはどうやって付いているのか。

バインディングは「接着してある」のは何となく分かるのだが、どんな接着剤を使っているのか?
考えたことも無かったので、調べてみました。
その結果…

最近では瞬間接着剤を使って接着する方法もあるそうだが、どうやらアセトンという溶剤を使っているようです。
アセトンをバインディングの内面に塗ります。すると樹脂製のバインディングは溶けて柔らかくなります。
その状態でボディーやネックに押し当てます。そうすると溶けたバインディングが木の繊維の中に染み込んでいきます。アセトンが揮発すると木に染み込んだバインディングは再び固まり、しっかりと固定されるというわけです。

修理にベストな接着剤について

先述のとおりバインディングは木の繊維に絡みついているので、多くの場合はバインディングが剥がれると木の繊維も一緒に剥がれてくるそうです。
今回のケースもバインディングの剥がれた部分の裏側を確認するとしっかり木の繊維が付いていました。木材も一緒に剥がれてきてる感じです。

バインディングの裏側に木の繊維が付いている場合は「木と木の接着」ということになります。
なので木工用ボンドを使用するのがベストです。
バインディングの裏側に木が付いていない場合はアセトンや瞬間接着剤を使ったほうが良いと思います。

そこで今回は楽器修理の定番ともいえる木工用ボンド「タイトボンド」を使用しました。

準備

どうやらこの剥がれは以前に修理を試みた跡がありました。
接着剤らしきものが付いています。乾燥しても固くならないタイプの接着剤を使ったようで、柔らかく粘りのある物が付いていました。
まずはその残っている接着剤を取り除くことにしました。

作業する時に現状よりバインディングが剥がれてこないようにマスキングテープで固定しました。



カッターナイフを使って残っている接着剤を取り除いていきます。
狭い隙間での作業なので、先の細いデザインナイフを使っています。

接着

いよいよタイトボンドで接着していきます。
タイトボンドの良い点はなんと言っても乾燥後、完全に硬化すること。

日本の木工用ボンドは、ほぼ全ての商品が硬化しないタイプです。乾燥後はゴムのようなプニプニした状態になります。

しかしタイトボンドは完全に硬化する上に、研磨することも塗装することも出来るのです。ちょっとした隙間や穴ならパテ代わりに使っている人もいるようです。
しかも水性のため取り扱いも楽です。塗った時にはみ出しても塗れ布巾でさっと拭き取るだけで綺麗になります。

というわけで、バインディングとネックの間にタイトボンドを塗って、ギュッと押し付けます。
もちろん余分なボンドがはみ出してきたので、塗れたウエスで拭き取りました。
ウエスと言っても小さめのタオルを使ってます。
ボンドを拭き取った後、乾燥する前に水で洗えばボンドは流れるので、また使えます。使い捨てウエス等より経済的です(笑)

密着した状態をキープするためにマスキングテープで固定します。
このまま24時間乾燥させタイトボンドが硬化するのを待ちます。

出来上がり

24時間経過後、マスキングテープを剥がしました。

成功です!しっかり接着されています。ガッチリ付いた感じですね。



ちょっとはみ出したボンドが残ってました。



慎重にカッターで削り、サンドペーパーで仕上げました。ポリッシャーで磨いたら完成です!



やはりバインディングの裏側に木の繊維が残っていたのでタイトボンドでしっかり接着出来ました。ボンドの選定が良かったのだと思います。

バインディングの剥がれで困ってる方の参考になればと思います。

サウンドハウス

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